色麻のれきし

公開日:2021年02月16日

更新日:2024年04月12日

国指定史跡 日の出山瓦窯跡

青空と森を背景にたたずむ日の出山瓦窯跡の写真

「日の出山瓦窯跡」は、今から約1,300年前の奈良時代初頭に瓦が生産された遺跡です。当時は律令国家による中央集権化が現宮城県域に及び始め、県内各地にその前線基地である「城柵」が築かれた時期でした。その中には陸奥国の国府「多賀城」も含まれます。この周辺では古くから古瓦の破片が発見されており、研究者から注目されていました。そんな折、開田に伴う掘削により窯跡が見つかり、昭和44年に発掘調査が行われました。調査の結果、7基の窯跡が並んだ状態で検出され、その内部には貯蔵、もしくは廃棄された大量の瓦と須恵器が残されていました。その中には建物の軒に葺かれる文様付きの瓦もありました。その文様は国府多賀城やそれに付属する寺院で発見された瓦と同じ「型」によって施されたことが確認され、それによって日の出山瓦窯跡が国府の瓦を生産した、いわば国営の窯跡であることが明らかになったのです。また多賀城跡の発掘成果から、日の出山で生産された瓦が多賀城でも最古段階、創建時期のものであることが判明しており、その重要性から昭和52年に国の指定史跡となりました。

土を掘って出来た穴蔵に入っている大量の瓦の写真

現代では瓦葺きの建物はそう珍しいものではありませんが、奈良・平安時代においては、役所や寺院など国の政策に関わる建物にしか葺かれませんでした。瓦は仏教とともに大陸から日本にもたらされたものであり、当時の仏教は国の政策と切りはなせないものだったためです。この日の出山で焼かれた瓦もそのような建物で使用されました。現在分かっているのは、多賀城や多賀城廃寺のほか、本町にある一の関遺跡、加美町中新田の菜切谷廃寺、宮崎の東山遺跡などです。また、現在までの研究成果から、日の出山では8世紀の初頭から半ばまで瓦を生産していたと考えられていますが、その工人は関東の諸国から移住させられた人々である可能性が高いこと、ある時期には奈良から工人がやってきて、瓦を生産したらしいということも分かってきました。

見つかった瓦の破片の、そのうち家紋のような特徴的な紋様を残す6つの欠片の写真

念南寺古墳(ねやじこふん)

 袋地区の林の中には、こんもりとした小山がたくさんあります。「古墳」という、土を盛ってつくられた大昔のお墓です。その中でも特に大きい一つの古墳が「念南寺古墳」です。今から1,700年以上前、大きな古墳がつくられるようになりました。古墳はお墓ですが、普通に暮らしている人がみんな古墳のようなお墓に入ったわけではありません。古墳をつくるには大変な工事が必要で、そのためにはたくさんの人の力と時間が必要でした。そのため、古墳をつくり、それを自分のお墓にできたのは、「豪族」というその地域を支配していた人たちでした。豪族は自分の「力」を示すように、見晴らしのいい丘の上に大きな古墳をつくりました。念南寺古墳もこの地域を治めていた豪族が、今から1,500年ほど前につくったと考えられています。長さが56メートル、高さが7メートルの立派な古墳です。上から見ると、「丸」と縦長の「台形」を組み合わせた形をしています。このような形の古墳は「前方後円墳」と呼ばれ、特に大きな力を持った豪族の墓といわれています。古墳のまわりでは、黄土色や薄茶色をしたカケラを拾うことができます。これは古墳に置かれた「埴輪」や土器のカケラです。埴輪は古墳に納められた人の魂を鎮めるために置かれたといわれています。

念南寺古墳発掘!!

 念南寺古墳は平成9年に発掘調査されました。発掘調査とは、実際に土を掘って、くわしく調べることです。それによって、外から見ただけでは分からなかったことが分かります。念南寺古墳の発掘調査では、頂上の平らな部分のふちに、埴輪が並べられていたことが分かったほか、平らな部分の真ん中からは、石でできた棺おけが見つかりました。東北の古墳では木でできた棺おけが見つかることが多く、石でできたものは珍しいのです。また、その形が家のようであるのも特徴的です。同じような棺おけは、当時の日本の中心であった奈良県のあたりの古墳で使われたようです。このことから、念南寺古墳をつくらせた人物は、中央の豪族たちとつながりを持っていて、そのためにこのような棺おけをつくったと考えらます。なお、「念南寺古墳」という名前は、昔この近くに安竈山念南寺というお寺があったのでこう呼ばれるようになりました。現在、そのお寺はなく、薬師さまを祀ったお堂だけが、残っています。

当時の前方後円墳の形状を再現したイラスト

前方後円墳のかたち

行列をなして山に集まるたくさんの人々のイラスト

古墳をつくるため、集められた人々

古墳の中に置かれた粘土質の土で出来た石棺の写真

念南寺古墳で見つかった石棺

埴輪の足に当たる円柱部分だけ残して地面に横並びになっている写真

並んで見つかった埴輪

念南寺古墳を模した、円柱型の塔のような形をした埴輪の写真

念南寺古墳と同じかたちの埴輪

念南寺古墳を模した、徳利のような形をした埴輪の写真

念南寺古墳と同じかたちの埴輪

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