大崎耕土「世界農業遺産」GIAHS

公開日:2022年09月01日

更新日:2022年11月25日

「世界農業遺産」とは

世界農業遺産とは、国際連合食料農業機関(FAO)が2002年に開始したプロジェクト名である。英語名は「Globally Important Agricultural Heritage Systems」で、頭文字を取って「GIAHS」(ジアス)と略されている。

世界農業遺産(通称:GIAHS)=世界的に重要な農業のシステム

世界的に重要な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する制度です。

何世代にもわたって営まれてきた伝統的な農林水産業、そして、それに伴い発展した文化や景観などを”生きた遺産”として次世代につないでいく取り組みを行っています。

※伝統的な農業、林業、漁業によって育まれ、維持されてきた【土地の利用】【技術】【文化風習】【生きもの多様性】などを次世代へ継承していくことを目的にFAOが創設したものです。

大崎耕土 世界農業遺産

大崎地域ってどんなところ?

大崎地域は宮城県北部に位置する1市4町(大崎市・色麻町・加美町・涌谷町・美里町)のことを指します。

大崎耕土

色麻エリア

1600年代に作られ、現在もつかわれる荒川用水路

現在の花川は、かつて荒川と呼ばれる暴れ川でした。その南側に広がる野谷地を新田に開拓するために設けられたのが荒川堰です。

1646年から1649年にかけてつくられ、花川から、大崎市松山地域方向に向け、自然勾配で山腹に沿って掘られたもので、開削を指揮した大越喜右衛門おおこしきうえもんは、詳細な地図の無い時代に、大崎耕土全体を見渡した流域における巧みな水管理を構想したと考えられています。全長33km、そのうち、丘陵の山腹の潜穴せんけつ(トンネル水路)が12か所(荒川用水路全体では13か所)、約1,700mある大工事でした。

この、荒川堰用水の上流部が色麻町を流れています。花川からの取水、潜穴と開水路で丘陵に沿って東に流れています。そこから500mは潜穴となり、その先に穴堰という地名があります。ここに「原潜はらくぐり」があり、伏越で水路を直角に方向を変え、南東方向の丘陵に向かって延びていきます。

花川取水、荒川堰開水路

                【花川取水】                                             【荒川堰開水路】

 

船形山信仰

船形神社

色麻町役場から西へ10キロメートルほどのところに、小栗分校がある。ここから岳山林道を約8キロメートル進むと、この社の参道入口である石鳥居につく。ここから急坂の小径を探りながら垢取場*(こりとりば)でのどをうるおし、ときに鎖に頼って約4キロメートル奥の標高598mの社、通称権現様につく。高く険しいことと祭神が女であることから地方では女人制とされ、また枡沢(ますざわ)の権現様と姉妹の神としても伝説も多い。
「新撰陸奥風土記」などの風土記に慶雲元年(704)の勧請( 神仏の分身・分霊を他の地に移して祭ること。)の式内社に準ずる社と記されているから郡内一古い社である。戦前は例祭日のほか9月8日から30日の間五穀豊穣と厄難消除を祈る為煩悩を断ち身を清めて、42年毎の2夜3日の御開帳の神事が行われているが、この日は古来から郡内一斉に農仕事を休んで参詣する慣習があり賑わったといわれている。現在は、さつき咲く頃、小栗山民総出で、さつき詣りが行われている。
山は水の源と尊ばれ、火山として恐れられ、その厳しさは愛と慈悲であるとして生活と深く関わり、また、神秘性から神に祀られ、それに仏教思想が結びつき権現社が生れ、明治初期まで修験者によって奉斉されてきた。
かつて、この山の麓近くに別堂善光寺(鶏雲寺)が建てられ僧侶が20ほどであった。この寺はときに北条時頼によって廃封され、また邑主(ゆうしゅ)(領主のこと)仁木小六郎(小栗山城主)によって再興されたりしてきた。権現社は、自然の災害で今小さな祠に変わったが、2012年に建替工事をし、立派な権現社になっています。


◆垢取場-垢(こり)とは身についた罪・穢(けが)れのことで、修験者(しゅげんじゃ)が身を清める場所でもあります。
◆潔斉-神事や参拝の前に肉食や酒、淫欲を断ち、沐浴などで心身を清めることです。
◆修験者(しゅげんじゃ)‐修験道の行者。
◆修験道-山岳崇拝の精神を基とし、厳しい山々で修行し、困苦を忍び、心身を修練し、悟りを開いて仏果を得る、という出家・在家を問わない菩薩道、即身即仏を実修する日本古来の宗教です

大崎耕土 世界農業遺産 解説映像

居久根のある風景 「世界農業遺産」

愛宕山

居久根と生き物

居久根の春

居久根の夏

居久根の秋

居久根の冬

色麻町鷹巣地区

色麻町花川沢口地区

大崎耕土とは

大崎地域は「江合川」「鳴瀬川」の流域に広がる野谷地や湿地を利用し、水田農業地帯として発展してきました。

しかし、東北の太平洋側特有の冷たく湿った季節風『やませ』による冷害や、山間部の急勾配地帯から平野部の緩勾配地帯に変化する地形が原因でおこる渇水・洪水などの問題が人々を悩ませています。

厳しい自然環境下で食料と生計を維持するため、「水」の調整に様々な知恵や工夫を重ね発展してきた大地が『大崎耕土』です。

大崎耕土が世界農業遺産に認定されたポイント

厳しい環境のなかで食料を確保していくためには、その地域にマッチした知恵や工夫が必要です。

大崎耕土では冷害や洪水に対応するための「水管理システム」を中心に、「生き物との共生関係」や「農文化」「食文化」「豊かで特徴的な景観」が発展し、それら全体の“つながり”が世界農業遺産認定へのカギとなりました。

 

*2020 大崎地域世界農業遺産推進協議会 大崎耕土世界農業遺産から転載引用

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